子供が小さい間は、どうしても
行動範囲が限られる。
梨奈の実家へ行く前後は、
『茂原十河』へ行くのが
定番であった。
第三章『茂原十河閉店①』
姪っ子の七五三が終わった後も
『茂原十河』へ何度も行った。
別に『茂原十河』を目指したのではなく
梨奈の実家へ行く途上に寄った、
というのが正しい。
特別有名店ではなかったが、
焼き立てワッフルと喫茶が楽しめる
お店があったり、おしゃれに無頓着な
私には、そこそこの紳士服が
百貨店にしては、比較的安価に
商品が買えるという使い勝手の
良いお店であった。
一方おしゃれにこだわりのある層には
品揃えが明らかに不足していて、
メインターゲットが中高齢者である
茂原十河の婦人服は
当時30代前半の梨奈を
満足させるものでは、なかった。
梨奈が少ない中での洋服選びを
していると中高齢の定員さんが
しつこく商品がお得である事を
アピールする。
買う気のない梨奈は家が遠いことを
理由に断ろうとすると
次の瞬間店員さんは、
『あなた家はどこなの?』と質問
私も同じ駅だから届けけると言う。
駅の改札待ち合わせでどう?
と言ってなかなかあきらめなかった。
最後は梨奈がいらないと突っぱねて
さすがの女店員さんも諦めたが
必死だったのであろう。。。
必死のセールスと同時に
驚いたのがこの定員さんが、
遠距離通勤をされていたこと。
同じ県内とは言え
千葉内陸部から千葉駅を
経由して外房線へ。
都心と違い田舎の上りの
終電は特に早い。
バブル崩壊後、流通業が業績挽回に
とった策は、店舗の営業時間延長。
いかに駅前の好立地とは言え
終電車を気にする日々
つらかったと拝察します。
遠距離通勤されていた事に敬意を表し
今回はここで終了します。
次回へ続きます。
ブログ小説千葉にあった百貨店
回想茂原十河と復活予想
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