順と話したのは、何時が最後だったのか、おそらく成人式の日、40年前かもしれない。還暦を迎える2年くらい前から中学校の同窓会LINEがにわかに活発になってきた。当時私は新潟に単身赴任中、彼は幹事だったらしい。順からメッセージをもらった。いかにも同窓会が楽しみで、LINEグループ参加に対し、いらっしゃいとコメントが書き込まれた。順も私も親が新潟出身。格別親しかった訳ではないが、大学1年生の終わりの春休み、二人で新潟へスキーに行ったことがある。
順の訃報を知ったのもLINE。
順はクラス会に参加して、
同級生たちと旧交を温めた
直後に亡くなった。
順のお母さんと私の母が
以前仲良くしており、母の訃報を
近所に伝えていなかったので、
順のところへ行く機会を逸していた。
そんな状況下の7月下旬、
19時頃外出先から戻ると
花火の音が聞こえた。
場所はどの辺?と花の水やりを
しながら空を見ていると
遠くに一人の老婆の姿があった。
距離もあり近くへ来ることもあるまいと
思っているといつの間にか、目の前に。
私に寄ってきて、花火はどっち?と聞いてきた。
地元の花火大会は翌週だが、
どうやら地元の花火大会と思い
外へ出てきたようだ。
こっち(地元)の花火は何時?
質問してきたので、
私は来週だよと答えた。
老婆の顔をまじまじと確認すると
順のお母さんだった。
同級生の息子の私だから寄ってきたのか
そう思っていたが、実は違った・・・。
お母さんの記憶はとっくに飛んでいて、息子と一緒にスキーへ行ったことのある私に話しかけたのではなく、たまたま外にいた人に話しかけてきたのだ。翌週の土曜日花火のプログラムとお供えを持って、私はお母さんを訪ねた。おばさん、今日花火だよと伝えると、にっこりとうなづき私にお宅、家はどこと質問が来た。順の同級生の息子という記憶は既になかった。無理もあるまい、私もお母さんが、一人ぐらしで、そのまま家にいることも先週話しかけられるまで、知らなかった。その時、私の母から聞いていた順の20代~30代くらいの時の話を思い出した。
画像は順とスキーに行った時の旅行記。この年の秋に大宮~新潟間で新幹線が開通。在来線を利用して
スキーに行く最後の春休みであった。民宿のオーナーをはじめ皆が新幹線開業を待ちわびていた。
さて、話題を変えて順のこと。
順は小学生の頃から偏食で
カップラーメンとコーラが好物。
大学を卒業して、入社した会社が埼玉。
一人暮らしの順は、ラーメンとコーラの
食生活で、何度となく体調を崩し
彼の母がしょっちゅう
食事を作りに行っていると
私の母が話していた。
順は優しい、いい奴だったけど
異性に積極的に寄ってゆくわけでなく
婚期を逸し、生涯独身であった。
同窓会がよほど楽しみであったようで
50年近い昔の学校生活を
彼は克明に覚えていて
そんな彼に対し私は
少し引いていた。
同窓会の2月くらい前、順と偶然の再開。
信号待ちの前の車を順が運転、
私は彼に気づいたが、ノーアクション。
その時車を降りて、
話しかければ良かった。
順は右折、私は左折、
同級生との最後の別れとなった。
順人生お疲れ様、ゆっくり休んで。
何時になるかわからないけど
今度再会したときは
必ず話しかけるから。
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