山梨の叔母が我が家に夏に来訪して、3日間泊まりました。家は新築から3年くらい経っていましたが、まだ新らしい感じ。お風呂にシャワーもついて皆喜んでいたのですが、大正生まれの父が、ある日突然シャワーをはずしてしまいました。温度調節の問題もあったけど、父の考えは、風呂のお湯を使って頭を洗えば良いという頑固な考えでした。
叔母は東京に用があり、
宿泊代の節約のため、
泊まりに来たのです。
まさか新築3年以内の家に、
シャワーの無い風呂なんて
想像できないでしょう。
父が入った後の残り湯で、
当時20代の叔母は、
さすがに髪を洗う気になれません。
3日目は叔母は家にいて、さすがに髪がかゆくなってきた様子、私の母に近所の美容院教えてと聞いてきました。私の母は無神経な方ですが、このときばかりは、察して昼過ぎ学校から帰った私に叔母をパーマ屋へ道案内を命じます。私は母が、髪結いのせっちやんと呼んでいる店へ一緒に行きました。迎えに来るよと言いましたが、このまま、お店にいてと叔母の依頼。そのまま店に残りました。母親より20歳年下の異母兄弟、私にとっては姉です。
せっちゃんは一人でお店をやっていて、店は狭かったです。叔母はせっちゃんに挨拶をして、用向き「シャンプー」をしてもらいたいことを告げました。せっちゃんは、うなずくと叔母をシャンプー台へエスコートします。店内は全体が見通せ、一応目隠しはあるけどせっちゃんと叔母の、やり取りが、丸聞こえ、叔母はピンク色のクロスを巻かれた後、仰向けに倒されました。
叔母の顔にガーゼがかかり、ひざ掛けがかかり、シャンプー開始。シャワーの音が聞こえると、せっちゃんは、お湯の温度確認。ここまでは、普通のパーマ屋と変わりないのですが、ここからせっちゃんは、叔母に容赦なくマシンガントーク。結婚しているの彼氏はとか、厚かましい質問ばかりで、叔母は適当にあしらっていましたが、だんだんいらいらしてきた様子。閉じていた足を開き足を揺らしはじめました。お金の節約のために泊まりに来て、家で洗髪ができず、やってきた美容院のシャンプー代はばかになりません。
15分くらいしたころ
叔母は体を起こされ
頭をタオルで覆われ
せっちゃんからお疲れ様と
声がかかり、ガーゼが
はずれるとシャンプー終了。
叔母の顔を覗き込むと
なにやら不機嫌そう。
せっちゃんは、気づかぬ様子、
叔母を鏡の前の席に誘導します。
せっちゃんがドライヤーをあて
叔母の髪を乾かし終了しました。
叔母はせっちゃんに儀礼的に
「気持ち良かった」ありがとうと
お礼を言いましたが、
お金を払って洗髪に
来たのだからリラックスさせてよ
という心の声が、
子どもの私にも聞こえました。
会計をすませ、お待たせと言って
二人で店を出ました。
叔母はアイスを食べて帰ろうと言って
近所のお店で、アイスを買って
公園のベンチで二人で食べました。
横に座った叔母の髪は
甘酸っぱいような
良い匂いがしました。
ケン、せっちゃんいつもうるさいのと
私に質問してきました。
いつもだよと私が話すと叔母は苦笑い。
あれから長い年月が経ちましたが
叔母もこの時のことを覚えていて
せっちゃん元気?と私に尋ねますが
その後の消息は分かりません。
家の風呂にシャワーがあれば
何の問題もなかったのですが、
私は、当時若かった叔母と
行ったパーマ屋での
叔母とせっちゃんのやり取りが、
今も目に焼き付いています。
コメントをお書きください